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更新日:2023年8月4日

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老後2,000万円問題を考える(2)2,000万円の根拠は?老後資金が不足する原因は?(くろまめ)

前回、老後2,000万円問題の「2,000万円」という数字は、全員に当てはまる物ではないこと、大切なのは「自分の場合」を考えてマネープランを立てることだとお伝えしました。

このささやきを読んでくださったかたの中には、「どんな計算をして2,000万円という数字が出てきたのだろう?」と疑問に思うかたもいるかもしれませんね。

そこで今回は、世間に衝撃を与えた「2,000万円」という数字の出所、つまりどんな計算方法で導き出されたのか考えます。ついでに、どうして「老後資金が不足するのか」その原因も考えてみます。

「2,000万円不足する」はどんな計算方法で算出されたのか

2,000万円の不足額は一体どのように計算されたのでしょうか。金融庁の報告書では、家計調査(2017年)の結果から、次のことを指摘しています。

  • 高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計では、実収入よりも実支出のほうが毎月平均約5万5,000円多く、赤字となっている

つまり、老後2,000万円の資金が不足する、という前提として

  • 夫65歳、妻60歳の時点で夫婦ともに無職
  • 30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦ともに健在
  • その間の家計収支がずっと毎月5.5万円の赤字

があるということです。この前提のもとで、毎月の赤字額と平均余命から、定年退職後から亡くなるまでに不足する金額を計算します。

  • 余命20年の場合:5万5,000円×12ヵ月×20年=1,320万円
  • 余命30年の場合:5万5,000円×12ヵ月×30年=1,980万円

計算すると、1,320万円から1,980万円の間で不足が生じることが分かります。報告書では、この金額を取り上げて、「老後生活していくうえで、2,000万円足りないのではないか」と警鐘を鳴らしたのです。

老後に2,000万円を用意しなきゃいけないわけではない

しかし、この報告書をもう少し読み進めていくと、次のようなことが書かれています。

  • 2017年における定年退職者の退職給付額は平均で1,700万円から2,000万円程度
  • 高齢夫婦無職世帯の平均貯蓄額は2,348万円

つまり、毎月5万5,000円の赤字が発生したとしても、その赤字は「退職金を含む貯蓄額を切り崩すことで補填できる」と考えられます。

おや。世間を騒がせたような「何が何でも2,000万円必要!」というような危機的ではなさそうな感じがしませんか?

もちろん「老後資金は用意しなくても安泰」という意味ではありません。なぜなら将来的にさまざまな点で老後資金が不足する可能性があるからです。

老後資金が不足する原因は?

「老後生活するための資金が不安だ・・・」という気持ちは、多くの人が持っていると思います。私にもあります。では、なぜ私たちは老後資金が不足するのでは?と不安になるのでしょうか。

老後資金が不足する原因を考えてみました。

長寿化による老後生活費が不足する可能性

「人生100年時代」の言葉のとおり、2021年7月30日に厚生労働省より公開された「令和2年簡易生命表の概況」では、95歳まで生存する割合は、男性11.1%、女性28.3%となっているんです。

自分は関係ない、と思わず「人生100年時代」であることを受け止めて、老後の生活設計を立てる必要があるのです。

退職金が減少する可能性

これまで老後生活の大きな柱となってきた定年退職時の退職金。実は、その金額は近年減少傾向にあります。退職給付額の平均は1,700万円から2,000万円で、ピーク時から約4割前後も減少しているそうです。

さらに、近年では1つの企業で定年まで勤めあげるのではなく、何回も転職したり、フリーランスで働いたりする人も増えています。必ずしも、まとまった退職金を受け取れる状況ではないということです。

今会社に勤めているかたは、自分がいくら退職金がもらえるのか把握しておくことが重要です。

 

今回は、老後2,000万円問題の計算方法と、老後資金が不足する原因を考えてみました。ここまでお読みいただいたかたは、「自分には関係ない」とはもう思えないのではないでしょうか。ちょっとでも危機感を感じた、自分の老後のことを真剣に考えようと思ったかたが増えてくれればうれしいです。

さて、次回は老後のマネープランの考え方を紹介します。

 

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