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市報「広報とりで」2014年1月15日号に掲載した市長コラムです。
今年は午(ウマ)年です。
干支(えと)として動物の馬が当てられますが、馬は幸運が駆け込んで来る縁起のいい動物とされています。私どもが普段使っている言葉の中にも、馬にちなんだ熟語やことわざがあり、民謡や舞踊にも、馬との暮らしぶりがうかがわれるものがたくさんあります。昨年、他界された島倉千代子さんの歌った「りんどう峠」(作詞・西條八十(さいじょう やそ)、作曲・古賀政男)には、「姉サは馬コでお嫁に行った」の歌詞もあり、馬との暮らしが農村の日常であったことがうかがわれます。馬は、家族であり、農耕上重用される労働力であり、移動の手段でもあり、財産そのものであったわけです。取手市と友好都市である群馬県みなかみ町には、江戸時代中期奉公人として江戸に飛び出し、後に炭商人として一大財産を築くとともに故郷のために数々の公益事業を行った塩原太助翁を記念する記念館があります。館内には太助が村を飛び出し、愛馬「あお」と涙の別れをする場面が感動的な絵として描かれています。
昨今、近代化、都市化が進んだこともあり、馬を実際に見かけることは極めて少なくなりました。しかし、取手市においては「公益財団法人ハーモニィセンター」が椚木(くぬぎ)地先において小貝川(こかいがわ)ポニー牧場を運営していることから、子どもたちを中心に引き馬からトレッキングまで体力や技量に応じて親しむことができます。その他、ホースアシスティッドセラピーと呼ばれていますが、障がいのあるかたや要介護者の心身の状態を改善するための触れ合いのプログラムもあるようです。私も、11月中旬の澄み切った青空の下、中村利根川下流河川事務所長さんと一緒に小貝川堤防を乗馬で巡視させていただきました。普段から大事に育てられている心優しい馬でしたので、すぐさま馴染(なじ)み、馬上から眺める美しい景色を堪能させてもらいました。
古来、馬を一流のものとして訓練することは容易なことではなく、伯楽(はくらく)という言葉ができ、馬の良否をよく見極める人という元々の意味が転じて、後にはよく人物を育てる人という意味で使われるようになりました。英語のことわざに、馬を水辺に連れて行くことはできるが無理に水を飲ませることはできないという言葉があります。これは馬の性質であると同時に自発性を待たなければ人の成長も難しいことを表現したものです。
時には、馬に揺られるパッカパッカ程度の速さに身を置いて過ぎし時代を振り返り、次の時代を展望するよう心掛けたいと思います。
小貝川堤防を馬に乗って巡視しました。