現在位置 ホーム > 市政情報 > 市長・議会・各種委員会 > ようこそ市長室へ > 市長コラム(バックナンバー) > 2021年の市長コラム > 【市長コラム】永田春水(しゅんすい)「孔雀(クジャク)の図」
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市報「広報とりで」2021年7月15日号に掲載した市長コラムです。
茨城県は横山大観や板谷波山をはじめとする近代美術の巨匠を生んだ土地柄です。この近代美術史上において偉大な業績を残されたのが、明治22(1889)年に北相馬郡相馬町(旧藤代町)に生まれた永田春水です。龍ヶ崎中学校(現竜ヶ崎第一高等学校)、東京美術学校(現東京芸術大学)日本画科を卒業し、文部省美術展覧会や帝国宇美術院展覧会で目覚ましい活躍をされた方(かた)です。
花鳥画を多く制作されましたが、緻密で気品に満ちた作品は見る者の心に響くものがあります。5月に茨城県近代美術館で開催されていた「日本画の150年 明治から現代へ」展では、「春光凞々(きき)」が展示されていましたが、その高貴な作品に圧倒されました。
その永田先生の作品を昨年末、市内在住の櫻井紀久様から取手市にご寄贈いただきました。作品は「孔雀の図」(昭和11(1936)年)と題された二曲一隻(にきょく・いっせき)の屏風です。悠然として羽を広げる雄と見守る雌の二羽が描かれていますが、私は泰然自若としたその風情に、見ていて救済されるような気持ちになりました。どのように見立てられるかは、それぞれだと思いますが、見応えのあるすばらしい作品であり、市民にとって大きな財産になることでしょう。
さて、日本画の永田先生は、洋画の服部正一郎先生と「県南美術協会」を設立され、取手市を中心とした茨城県南の美術の振興発展に努力し、後進を育てられました。それも大きな財産として現在の取手の美術の隆盛を支えています。6月には地元の美術作家の先生方による取手美術作家展「とりび」が取手ウェルネスプラザで開催されましたが、46回目という歴史に敬意を表したいと思っております。
市では、ホームページ上に「とりでオンライン美術館」を開設し、日本画・洋画・彫刻・工芸のそれぞれの分野での収蔵作品を公開しています。ご鑑賞いただければ幸いです。
孔雀の図
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