現在位置 ホーム > 月・木・SAY 職員のささやき > 生涯学習課・埋蔵文化財センター・公民館 > 飯島 章 > 取手の火の見やぐら(その6)(飯島章)

印刷する

更新日:2022年6月24日

ここから本文です。

取手の火の見やぐら(その6)(飯島章)

「取手の火の見やぐら」の6回目は、大正時代終わりから昭和時代初めころの絵はがきに写っている火の見やぐらを紹介します。
絵はがきは、下の写真になります。
大正時代の取手の街並みと火の見やぐら(個人蔵)
画面下に、右から左書きで「(取手名勝)茨城県取手町本通り(取手町金宝堂発行)」と書かれています。
金宝堂は、かつて取手にあった写真館だと聞いたことがあります。
通りの右側に火の見やぐらが立っています。
この場所は、現在の取手市商工会のあるところです。
もちろん火の見やぐらは今はありません。
詳しくは、下の地図をご参照ください。

火の見やぐらは、屋根と見張台は六角形、柱は4本で屋根の下には半鐘がつり下げられています。
屋根は、チューリップハットかバードケージ傘のように、上に向かってかなりせりあがっています。
写真ではわかりづらいですが、火の見やぐらの下を歩いている和服の女性がバードケージ傘をさしています。
偶然でしょうが、おもしろい取り合わせです。

絵はがきの左端に写っている建物は、香取呉服店です。
『取手市史』民家編によると、香取呉服店がこの写真のように改装されたのは大正11年(1922)とのことです。
よってこの写真は、大正11年以降の撮影になります。
下の写真は、おそらく昭和30年代に撮影された香取呉服店です。
昭和30年代に撮影された田丸屋呉服店の旧店舗(取手市教育委員会所蔵)
このように、和風の建物の道路に面した部分にだけ洋風の意匠を取り入れたものを、看板建築と言います。
残念なことに、この建物も今はありません。

さて火の見やぐらの立っているところに、当時は取手警察署がありました。
次の写真は、取手警察署の竣工直後の写真です。建物や塀が真新しい感じがします。
出向から間もない取手警察署の建物(取手市教育委員会所蔵)
こちらは、かなり本格的な洋風建築です。国家の安寧と秩序を守る警察の気概が感じられます。
この建物は、警察署の移転後は取手町役場として市制施行の昭和45年まで使用されました。
上の絵はがきをよく見ると、建物中央の玄関上にある破風(はふ)の三角が見えます。

この火の見やぐらが立てられたのは、大正の末年か昭和の初めころかと思われます。
おそらく近隣では最も早くに立てられた鉄製の火の見やぐらになると考えられます。

鉄製の最初期の火の見やぐら、看板建築の香取呉服店、洋風建築の取手警察署、そしてどことなく大正ロマンの香り漂う取手の街並みは、今はただこの絵はがきの中にのみ、その姿をとどめています。

 

広告エリア

広告募集要綱