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更新日:2021年8月30日

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【市長コラム】防災教育の原点

市報「広報とりで」2014年9月15日号に掲載した市長コラムです。

本年8月5日に市町村長自治研究会という集まりで群馬大学大学院の片田敏孝(かただ としたか)教授の「釜石の奇跡 災害にどう備えるか」と題する講演を聞きました。片田先生には平成22年11月に取手市にお越しいただき、ご講演を頂いております。

その際は、兵庫県佐用町(さようちょう)における大規模災害をもとに当事者意識の重要性(自分自身のことと捉えて行動できるか)ということを明快にお話しいただきました。一例を挙げると「避難勧告が出たら即座に逃げてください」と行政が案内をすれば、「避難勧告が出るまでは、逃げないで良い」というような解釈をする人が増え、大規模災害があった際の警報の発令や避難勧告のありなしだけを論じているが、もっと前向きに想像力を伴った役立つ防災を作り上げようとの問題提起でした。一つの市の中でも、住んでいる場所によって雨量も地盤も異なります。年齢や家族構成により逃げ道の確保も異なります。現実に取り得る身を守る行動を各自がタイムリーに取れることが肝心で「自発的自助(納得して自ら動く)」が第一との結論でした。

今回、片田(かただ)先生は釜石の奇跡というテーマでお話しされましたが、千人の犠牲者を出したことは苦悩以外の何物でもない、しかし、「津波に備え逃げる」とはどういうことか、子供たちに一生懸命考えさせ、時として悩みを与えたり家族を泣かせたりする授業を継続したことで、少なくとも学校管理下にあった子供から犠牲者が出なかったことに対して子供たちの素直な心と家族愛をたたえたいと話されました。さらに、子供たちの必死の避難行動は、31年をかけ1200億円を投資して造った水深63メートルの湾口防波堤があるから大丈夫、明治三陸津波の時の最高地点より高いから大丈夫と考えて行動が鈍りがちであった周囲の大人たちを覚醒させ、多くの命を救ったのです。子供たちは助けられる人でなく助ける人として存在を示しました。

「津波てんでんこ」とは、津波が来たらバラバラに逃げよという東北地方の昔からの言い伝えのことです。しかし、本当に、てんでんこができるのは、家族に信頼関係がある場合に限られます。片田先生は「君の一番大切なお母さんは君のことが大好きだから、君が自分で逃げていないと思ったら、君のことを探しに家に戻ってくる、そのことでお母さんの命が失われるかも知れない、だから、お母さんにうちの子は必ず逃げていると確信させる強い信頼を持ってもらえているか」と繰り返し児童に問い続け、親との真剣な対話を促したのです。

さて、取手市の小学校・中学校では「自分で考え自分で動くこと」の実践の一つとして、予告なし避難訓練を行っています。大地震や竜巻などは予告なしにやって来ます。児童生徒が、大規模災害が発生した時に、学校のどこで何をしていても、自らの判断で避難行動を取ることができるようにするためです。「自分で考え自分で動くこと」の大切さを学童期に体得させることが防災教育の原点だと考えております。

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