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更新日:2021年12月28日

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【市長コラム】岩倉使節団米欧回覧に思う

市報「広報とりで」2015年1月15日号に掲載した市長コラムです。

遡(さかのぼ)ること143年前の1872年1月15日早朝、岩倉使節団47人を乗せたアメリカ号が22日間の船旅を経て米国西海岸サンフランシスコ港に到着しました。

1年9カ月にわたる米欧12カ国のグランドツアーの始まりです。当時、徳川幕藩体制を終了させて明治政府が成立したとはいうものの復古派や開明派が拮抗(きっこう)して新国家の設計図が見えない中、国のリーダー(岩倉具視(いわくら ともみ)の他、木戸孝允(きど たかよし)、大久保利通(おおくぼ としみち)、伊藤博文(いとう ひろぶみ)など)が進んで洋行して西洋近代文明を学び、政治、産業、経済の礎を造ろうとするものであり、果敢なチャレンジでした。昨年、取手図書館でふと手にした「誇り高き日本人」(泉三郎著、PHP研究所)という書籍に国の命運を背負った岩倉使節団の物語が大使随行員久米邦武(くめ くにたけ)による「米欧回覧実記」を基に丁寧に生き生きと描かれています。

7カ月にわたる米国での滞在では、大陸横断鉄道により海抜2千メートルを超えるシエラネバダ山脈を越えた後、広大な漠野が続く光景に心底驚いたようです。東海岸に至るや政治の中心ワシントン、産業都市フィラデルフィア、発展著しいニューヨーク、建国の地ボストンを訪れていますが、使節団は新しい文物や繁栄ぶりに心を奪われただけではなく、米国の拠って立つ精神、風土を真剣に探ろうとしていたようで、宗教や道徳や教育、また、奴隷制度についても、考察を加えています。

一行は、ボストンを後に11日の船旅で大西洋の表玄関リバプールにて大英帝国(イギリス)に入り、鉄と石炭と蒸気力で工業を興し世界の富を集めた世界の工場の繁栄を目の当たりにします。同時にアヘン窟(くつ)(アヘンを提供する店)のある地域を訪れ資本主義の影の部分も視察します。次いで、ロシア、フランス、ドイツ、イタリアなど欧州10カ国を駆け巡ります。欧州では、政治の仕組みも、一様ではなく、宗教や生活習慣も異なり、発展段階も違うことを痛感させられ、小さな国日本も、国民の勤勉努力、人智次第で近代国家として発展していくことは十分に可能だと自信を得たようです。

帰国後、使節団のメンバーは明治政府の高級官吏や事業家、教育家などとして近代日本建設の大きな推進力となりました。しかし、その後70年を経て日本は日独伊三国軍事同盟を結び米英との戦争に突入し破局へと至ります。時間をかけて異文化をしっかりと捉え謙虚に国づくりに生かそうとした開化第一世代の原体験が引き継がれなかったことが残念でなりません。

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