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夜の風景
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屋外を歩いていると、綺麗なものがたくさんある。特別に構成せずとも身近な景色が十分なモチーフになると感じるようになった。日頃から意識して景色を眺めると季節は想像以上の速さで移ろい、草木や空の表情はわずかな時間でも変化する。とりわけ私の心を奪ったのが、夜の景色に漂う湿度や人工光が空間に滲む感覚である。光の種類は時代とともに変わり、現代の夜はまるで昼の延長のように明るい。やがて夜が夜ではなくなっていくかもしれない、、、そんな予感を抱きながら近所を歩く時間が、私にとって制作と思考の重要な起点となっている。
支持体は、木製パネルに綿布を張り、その上に白亜地(はくあじ)(炭酸カルシウムや膠水(にかわすい)などを混ぜた地塗り材)を重ねたものを使用しています。その上から、テンペラ絵具と油彩を併用する混合技法によって描画しています。
本作では、テンペラによる不透明で安定した下層を基盤とし、その上に油彩の透明な層を重ねることで、画面に複数の層を内包させています。テンペラの硬質で明晰(めいせき)な質感と、油彩の水々しく柔らかい質感を組み合わせることで、空間に奥行きと揺らぎを生み出すことを試みました。
こうした絵具層の重層構造を通して、日本の夜景特有の湿度のある空気感を表現することを目指しています。

油画「叉路」の制作風景
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