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取手市は令和2年8月3日、「気候非常事態宣言」を表明し、2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」の実現に向けた取組を進めています。その取組の一つとして、毎年、「地球温暖化対策講座」を開催しています。
令和5年10月27日(金曜日)、取手ウェルネスプラザ1階多目的ホールにて、「令和5年度取手市地球温暖化対策講座」を開催しました。
当日は、市民94名(ライブ配信も含む)が講座に参加。講師には元南極の料理人の篠原洋一(しのはら よういち)氏を招き、「世界10周と南極越冬2回で感じた地球環境の変化」と題して、講演していただきました。
講師の篠原 洋一(しのはら よういち)さんに南極の気候や環境の変化、海洋プラスチックごみ問題などについて自身の体験談やクイズを交えて分かりやすくご講話いただきました。
講座では話の途中途中に、篠原さんが南極で撮影したペンギンやアザラシ、オーロラなどの写真や動画など南極で越冬を経験された篠原さんだからこそ持っている貴重な記録が披露され、参加者は終始和やかな雰囲気で傾聴されていました。
また、今年度も昨年度に引き続き、取手市公式youtubeチャンネルにて講座会場をライブ配信するハイブリッド開催を実施し、多くのかたにオンラインで参加していただきました。
中村市長が他の公務により欠席のため、代理で野口まちづくり振興部長が「取手市では、令和2年8月に気候非常事態宣言を表明し、ゼロカーボンシティに向けた取組を行うなど、2050年のCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指したまちづくりを進めています。その中で、本講座を契機としてより多くの市民の皆様が、地球温暖化が進む現状と世界中で起きている環境問題について関心を深めていただくことを期待しています」とあいさつ。
最初に、篠原さんは「飛鳥2(「2」の正式表記はローマ数字)」でのアラスカ航海中に発見したごみの話をし、「海上にぽつんと小さな島があると思ったらなんとごみだまりだったんです」と当時の衝撃を振り返りながら、国際的な問題となっている海洋プラスチックごみについて説明しました。
沿岸から離れている公海においては今も多くのごみが海上に浮かんでいる状況であることから、「こうしたごみは日本の沿岸からも多く排出していて、決して他人事ではないということを知ってほしいです」と参加者に呼びかけていました。
次に、世界最低気温である氷点下89.2度を記録したことのある南極の過酷な環境について、南極観測隊員ならではの視点で説明していただきました。
篠原さんは「南極は文明圏から遠く離れた特殊な環境だからこそ、人の手が加わっていないありのままの地球の姿を観測することができるんです」と話し、厳しくも美しい豊かな自然が未だに存在していることの素晴らしさを伝えていました。
南極でも大気汚染が進み、大気中にあるごみが太陽光に反射することによって生じる夜光雲が見られる頻度が高まっていることや、大気中のオゾン層がフロン等のガスによって破壊されオゾンホールが広がることで以前よりも多くの紫外線が地上に降り注いでいることなど、地球温暖化の影響が南極でも顕著に現れており、地球環境が悪化している現状にあることを教えていただきました。
南極の氷は「地球の母」とも呼ばれ、温まった海水を冷やしたり植物プランクトンを生産したりと、地球全体に対して重要な役割を果たしているといったお話がありました。
しかし、pm2.5などのちりが積もって氷の表面が黒っぽくなることで太陽光を吸収しやすくなり、氷が溶けやすくなってしまっている現状を説明。「南極の氷が果たしていた役割がなくなることで、海水温の上昇や魚類の減少など世界中の海洋に大きな悪影響を及ぼすことになります」と参加者と危機感を共有しました。
最後に、篠原さんは海洋プラスチックごみや地球温暖化といった世界中で起きている環境問題への対策について、ごみの持ち帰りや分別、エコバッグの使用といった環境にやさしい行動を意識して行ってほしいと話したうえで、「一人ひとりがそういった心がけを持ち、日々の生活からできることを行っていく必要があります」と参加者に呼びかけていました。環境問題に対して関心を持ち、環境にやさしい行動を心がけましょう!