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更新日:2024年7月31日

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NPO法人と収益事業

特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます)と収益事業の関係性についてまとめました。NPO法人の設立や設立後の運営過程において、誤解をなくし、正しい理解と対応に努めましょう。

NPO法人も収益事業を行うことができます

NPO法人は、「非営利」という部分がクローズアップされやすいことから、「NPO法人はすべてボランティアでなくてはならない」とか、「収益をあげてはいけない」と誤解されているケースが少なくありません。結論から言いますと、NPO法人であっても役員に報酬を支払うことも可能ですし(ただし役員総数の三分の一以下)、社員に給料や日当を支払うことも可能です。また、以下のポイントを認識・理解していれば、活動資金を集めるための収益事業を行うことが可能です。

  • 法人定款にその収益事業に関する規定がされている
  • 法人税法上の公益法人等とみなされ、法人税法施行令第5条規定の収益事業34業種を行う場合は法人税の申告が必要である
  • 物品の販売や、対価を得て行うサービスの提供で得られる売り上げが一定額を超える法人の場合は、消費税の納税義務が発生する
  • 収益事業を行うことにより、次年度の法人市県民税の減免措置の対象外となる可能性がある

(注意)法人税法施行令第5条規定の収益事業34業種とは、物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理飲食業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、技芸・学力教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供業、労働者派遣業をさします。

収益の使い道が限定されています

収益事業を行うことが可能なNPO法人ですが、事業から得られた収益や余剰利益を、NPO法人の構成員である社員や会員に分配することが禁止されています。例えば株式会社のような営利法人では、決算後に余剰利益が生じた場合は、株主(構成員)に配当金という形で利益を分配することができますが、NPO法人はこれができません。NPO法人が「特定非営利活動法人」と言われるゆえんは、ここにあります。

NPO法人では、得られた余剰利益は、その法人が定款で定める特定非営利活動のために充てなければならないと、NPO法で規定されています。言い換えれば、余った利益は翌年度以降の特定非営利活動(いわゆる本業)を行うための法人の活動資金に充てる必要があるということです。

収益事業がその他の事業になる場合は、本業に支障のない範囲で行う必要があります

NPO法人が行う事業には、大きく分けて「特定非営利活動にかかる事業」と「その他の事業」に分けられます。「特定非営利活動にかかる事業」とは、NPO法で定める「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする」以下の20の活動をさします。

  1. 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
  2. 社会教育の推進を図る活動
  3. まちづくりの推進を図る活動
  4. 観光の振興を図る活動
  5. 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
  6. 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
  7. 環境の保全を図る活動
  8. 災害救済活動
  9. 地域安全活動
  10. 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
  11. 国際協力の活動
  12. 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  13. 子どもの健全育成を図る活動
  14. 情報化社会の発展を図る活動
  15. 科学技術の振興を図る活動
  16. 経済活動の活性化を図る活動
  17. 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
  18. 消費者の保護を図る活動
  19. 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
  20. 前各号に掲げる活動に準ずる活動として、都道府県又は指定都市の条例で定める活動

NPO法人は、これらの20事業のうち、法人の定款で定める事業を主たる目的として活動していることになります。一方で、これら法人の本来の目的外の活動を「その他の事業」と呼び、「その他の事業」を行う場合は、NPO法により以下の制約があります

  • 特定非営利活動にかかる事業(いわゆる本業)に支障のない範囲で行う必要があります
  • 特定非営利活動にかかる事業(いわゆる本業)とは、会計を区分して、特別会計として経理する必要があります

言い換えれば、「収益を上げるのに熱心になって本業をおろそかにしてはいけません」、また「本業とはしっかりと会計を区分してください」ということです。

収益事業と法人税の関係性

もう一つ、誤解されやすいものとして、収益事業と法人税の関係性があげられます。「特定非営利活動に係る事業」は非課税で、「その他の事業」は課税と勘違いされているケースも少なくないですが、実は、NPO法上の「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」の区分と、法人税法上の課税(収益事業)と非課税(非収益事業)の区分との間には、相関性はありません(それぞれ別個に考慮する必要があります)。特定非営利活動に係る事業であっても課税対象となる場合もあるので注意が必要です。それぞれのケース別に以下に簡単な例を交えて説明します。

A NPO法上の特定非営利活動にかかる事業で、法人税法上の非課税となる事業

例えば、法人定款で「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」を目的として定めていて、そのためにボランティアで福祉施設に慰問を行う活動は、特定非営利活動に係る事業(本業)に該当し、かつ法人税法上の34業種に該当しませんので、非課税となります。

B NPO法上のその他の事業で、法人税法上の非課税となる事業

例えば、法人メンバーの親睦会などは、特定非営利活動に係る事業(本業)ではありませんので、その他の事業に該当し、かつ法人税法の34業種に該当しませんので、非課税となります。

C NPO法上の特定非営利活動にかかる事業で、法人税法上の課税となる事業

例えば、法人定款で「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」を目的として定めて、そのために行った福祉活動の記録冊子(書籍)の販売は、特定非営利活動に係る事業(本業)に該当しますが、法人税法の34業種のうちの「物品販売業」に該当するため、課税となります。

D NPO法上のその他の事業で、法人税法上の課税となる事業

例えば、法人定款で「保健、医療又は福祉の増進を図る活動」を目的として定めているが、それとは何ら関連のない写真集(書籍)の販売は、その他の事業に該当し、法人税法の34業種のうちの「物品販売業」に該当するため、課税となります。

収益事業を行う場合は必ず税務署や税理士などに相談を

上記の例はあくまで一例であり、事業の継続性や規模などさまざまな要素で、課税対象となるかどうかが判断されますので、NPO法人が収益事業を行う場合には、必ず事前に税務署や税理士などに相談、確認をするようにしてください。また、これまで課税対象となる事業を行ってこなかったNPO法人が、新たに課税対象となる収益事業を行う場合は、税務署に届出も必要になりますのでご注意ください。

  • 竜ヶ崎税務署
    住所 龍ケ崎市川原代町1182-5
    電話番号 0297-66-1303

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