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更新日:2024年1月11日

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埋蔵文化財センター第51回企画展歴史講座が開催されます(飯島章)

企画展「絵はがきでよみがえる昔の取手」の開催

埋蔵文化財センターでは、10月22日(日曜日)まで第51回企画展「絵はがきでよみがえる昔の取手」を開催しています。
企画展の詳細は、『広報とりで』8月1日号の8ページ、市ホームページ(掲載は終了しています)をご参照ください。

歴史講座「絵はがきで見る取手の街並み」の開催

企画展の関連行事として歴史講座が開催されます。

演題

絵はがきで見る取手の街並み

講師

埋蔵文化財センター職員(不肖飯島が講師を務めます)

日時

8月26日(土曜日)
午後2時30分から4時まで(開場は2時)

会場

福祉会館講座室A・B(取手市東1-1-5、市民会館となり)
福祉会館については、市ホームページの市民会館をご参照ください。
福祉会館の場所は、下の地図もご参照ください。

定員

120名(当日受付順、事前の申し込みや予約は必要ありません)

歴史講座の内容

絵はがきの登場

日本の近代郵便制度は明治4年(1871年)に始まり、翌明治5年にはほぼ全国に広まりました。
明治6年からはがきの取り扱いが始まりますが、当初は官製はがきのみでした。
明治33年、「(旧)郵便法」が制定されると、私製はがきの使用が認められます。
こうして私製はがきの一つとして、絵はがきが登場しました。

絵はがきの発行年代

絵はがきが登場すると、取手の光景を撮影した写真を用いた絵葉書が発行されます。
しかし絵はがきの発行年代は、実はよくわかりません。
今回の企画展では、約170点の資料を展示しています。絵はがきは約130点になります。
約130点の絵はがきで、発行年代(または写っている行事の実施年代)が記載されているのは、わずか2点しかありません。
下の写真は、展示室の様子です。
展示室の光景

絵はがきの発行年代を探る

発行年代が記載されていなくても、絵はがきに写る写真を詳しく見て行くことで、おおよそでも発行年代(写真の撮影年代)を推定することはできます。
さて明治29年12月、日本鉄道土浦線(現JR常磐線)が開業して、利根川に鉄橋が架けられます。
利根川の鉄橋の移り変わりを見て行くことで、発行年代を推理してみましょう。

土浦五十銀行取手支店開業記念絵はがきに写る利根川橋梁

下の写真は、明治39年5月に開業した土浦五十銀行(現常陽銀行)取手支店開業記念の絵はがきに写る利根川橋梁です。
土浦五十銀行取手支店開業記念絵はがきに写る日本鉄道土浦線利根川橋梁
(竹内孝明氏所蔵)
日本鉄道土浦線の開業が明治29年、絵はがきの登場が明治33年、土浦五十銀行取手支店の開業が明治39年ですので、写真の撮影は明治39年か、どんなにさかのぼっても明治29年です。
この鉄橋は、お雇い外国人ポーナル(イギリス人)の設計になる200フィート型平行弦ダブルワーレントラスで、完成からさほど年月が経っていない頃の写真と言えます。
イギリス製のこのトラス橋は、主に本州の幹線鉄道で多く用いられました。

(取手名所)絵はがきに写る利根川橋梁

下の写真は、(取手名所)絵はがきに写る利根川橋梁です。
(取手名所)絵はがきに写る利根川橋梁
(個人蔵)
鉄橋を見ると、斜材の交わる点を横に結ぶ水平連結材が取り付けられています。
これは大正時代に入り蒸気機関車が大型化し重量が増えたため、鉄橋を補強するために取り付けられた部材です。
また鉄橋の左側(上流側)では、新しい橋脚を建てる工事が始まっています。
大正時代に入ると複線化の工事が始まり、大正6年(1917年)に新しい200フィート型曲弦プラットトラスが完成しています。
よってこの写真は、大正時代の初め頃に撮影されたことになります。

(取手名勝)絵はがきに写る利根川橋梁

下の写真は、(取手名勝)絵はがきに写る利根川橋梁です。
(取手名勝)絵はがきに写る利根川橋梁
(個人蔵)
鉄橋を見るとダブルワーレントラスの姿はすでになく、上下線とも200フィート型曲弦プラットトラスになっていることが見て取れます。
大正6年に新しい橋が架かると、明治29年に架けられたダブルワーレントラスは撤去され、プラットトラスに架け替えられます。完成は大正11年になりますので、それ以降の撮影になります。
さらに左側、利根川橋梁の上流側で新しい橋の工事が始まっています。
これは、昭和3年(1928年)に始まった大利根橋(道路橋)の工事です。
よってこの写真は、昭和3年の撮影と見て間違いありません。

歴史講座のさわり

歴史講座のほんの一部(さわりの部分)を紹介しました。
それでも今回は長くなってしまいました。最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
猛暑もしばらくはおさまりそうもありませんが、企画展と合わせて歴史講座にも足をお運びいただければ幸甚です。
皆様のご来館をお待ちしています。

 

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