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更新日:2024年1月11日

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埋蔵文化財センター第51回企画展が開催中です(その7)(飯島章)

埋蔵文化財センター第51回企画展「絵はがきでよみがえる昔の取手」の会期も、10月22日(日曜日)までと残りわずかとなりました。
今回は、取手の街並みの絵はがきとしては、写真の撮影年代がかなり古いと考えられるものを紹介します。
この絵はがきも、現物を展示しています。
ただしご来館の皆さまに無料で配布しているパンフレットには写真は掲載していません。
パンフレットは8ページの小冊子ですので、展示資料全ての写真は掲載できません。
ご寛容のほどをお願いします。

茨城県取手町の市街

今回紹介する絵はがきの写真は、下になります。
茨城県取手町の市街絵はがき
(取手市教育委員会所蔵)
写真の下には、右から左書きで「茨城県取手町の市街」、また英文で「THE CITY OF TORIDE ST,」と書かれています。
現在の八坂神社の前辺りから、西を望んで撮影したものです。
撮影地点は、下の地図をご参照ください。
左側の家並み(南側)の一番手前には、現在は整骨院があります。
整骨院の前は、人形店があったのをご記憶の人もいらっしゃると思います。
この絵はがきの写真の撮影年代が古いと考える根拠は、電信柱が見えないことです。
通りの奥(西側)には電信柱かと思われる木柱がありますが、今一つはっきりしません

日本で私製はがきの使用が認められるのは、明治33年(1900年)の「郵便法」の制定以後です。
私製はがきの一つとして、絵はがきの使用が始まります。
この絵はがきの写真の撮影年代は、明治30年代と推定しています。江戸時代の宿場の面影が色濃く残る写真と言えます。

看板の文字を読む

左側の通り、一番手前の家は写真撮影の時点で人形店だったようです。
手前側(左側)の看板には、上にお内裏様とお雛様の絵が書かれています。
その下には、「際物雛人形鯉幟販売(きわもの、ひなにんぎょう、こいのぼりはんばい)」と縦書きで書かれています。
「際物」(きわもの)とは、年間を通して売れる商品ではなく、季節によって需要が生じる商品を言います。
雛人形、節句人形、鯉のぼりなどは、まさに際物になります。

奥側(右側)の看板には、「煙草入弗入袋物各種(たばこいれ、どるいれ、ふくろものかくしゅ)」と書かれています。
弗入の「弗」はアメリカの通貨の単位の「ドル」です。
弗入は、小銭入れ、財布のことです。現在ではあまり使いませんが、「がまぐち」が一番イメージが近いかもしれません。
同じ財布でも、小銭入れのがまぐちに対して、紙幣を入れて持ち歩くのが紙入れになります。
袋物は、袋に形をした物入の事です。
財布、がまぐち、紙入れ、手提げなど、みんな袋物になります。

物自体は今でも使っていますが、呼び名は死語に近いものになってしまっているようです。
看板の文字からも、過ぎ去りし遠い過去が偲ばれます。

最後にお詫び

今回も手前味噌なささやきになってしまいました。
企画展の会期も、本日(10月20日)を入れてあと3日となりました。
皆様のご来館をお待ちしています。

 

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