現在位置 ホーム > 月・木・SAY 職員のささやき > 会計課 > くろまめ > 「年金保険料を納めるより貯金」をしたある人に訪れた悲劇(くろまめ)

印刷する

更新日:2023年8月4日

ここから本文です。

「年金保険料を納めるより貯金」をしたある人に訪れた悲劇(くろまめ)

こんにちは。20歳以上60歳未満の現役世代のかたは、国民年金や厚生年金などに加入して、年金の保険料を納めています。

しかし、ときどき、「自分で老後資金を準備するのなら、払わなくてもよいのでは?」という極論をおっしゃる人もいます。日本の年金制度は、大雑把に言うと、現役世代が納めた保険料で年金受給者の年金をまかなう賦課方式を採用しています。「自分で積み立てておけるのではないなら、貯金しておいた方が良くない?」と考えてしまう人がいるのも、分からなくはありません。

しかし、きちんと年金の保険料を納め、自分が年金をもらえる権利を作っておくことが、現役後の生活設計において非常に重要です。さらに、「老後資金は自分で貯金して準備する」という考えには、思わぬ落とし穴があるのです。

今回は「年金保険料を納めるより貯金」と考えたとある人の物語です。(登場人物はフィクションです)

年金保険料を納めず貯金に回した個人事業主を襲った悲劇

50歳の個人事業主であるAさん。Aさんが働き始めたころは、ちょうどバブルが終わる頃でした。当時、自営業者の間には「年金なんてもらえるかどうかわからないから、払わなくていい」という風潮があり、Aさんも「その通りだ」と考えていました。

「いつ病院にかかるかわからないから」と国民健康保険には加入していましたが、年金はずっと無視していたのです。
そうして月日が流れていきました。

年金を払うより貯金したほうがいい――。

当時の先輩たちの話を信じていたAさんでしたが、「貯蓄があれば何とかなる」のは、預金金利が比較的高かった、就職したての頃の話。1990年頃は銀行金利が2%、郵便局の金利は3%を超えていました。今からは想像できない高い利率です。たしかにその頃なら、貯金だけでも老後は何とかなったかもしれません。

Aさんは、年金保険料を払うよりも貯めていこうと考え、自宅に年金保険料の催促状などが届いたり、電話で催促されたりしても無視を続け、全く支払いませんでした。

単身のまま働き続けているうち、周囲には「年金には入っておくべき」と話す人が多くなりました。2000年に入り景気は低下し、2005年のリーマンショックが起こったり。1990年代の頃の景気の面影はありません。

しかし、Aさんは「今さら入っても25年の受給資格には満たないし、どうせそんなにもらえない」。そう思って加入することを前向きに考えず、今に至ってしまいました。

2017年8月から、年金の受給資格は「10年以上の加入」で得られるようになりました。今加入すると、ギリギリその10年を満たせます。ですが、もらえる金額はそう多くはないと思え、まだ加入を迷っています。

悩んでいる男性の画像

「いつまで現役で働き続けられるか分からないし、自分が何歳まで生きるかも分からない。景気も良くないし、年を取れば医療費や介護費用だって嵩んでくるだろう。正直、自分の貯金だけでやっていけるのか自信がない。年金の保険料をきちんと納めていれば、65歳から年金が死ぬまでもらえるし、もう少し老後の生活も前向きに考えられたと思う。」

公的年金老後の生活基盤になる

現在、平均寿命が延び続け、「老後」の期間が長くなっています。そうした中で、年金のような毎月安定した収入源を持つことが、貯蓄などで資産を作ること以上に重要なのです。仮に「年金保険料を支払わなくてもいい」としても、その分の金額を老後のために今から貯められるかというと、なかなか難しいのではないでしょうか。寿命はどんどん延びています。長生きするだけたくさん年金がもらえ、支払ってきた金額を超えることさえあります。

万が一けがや病気で障害を負ったときも保障がある

治る見込みのない障害を負ったときや、配偶者を亡くした時などにも、ある程度の生活が保障されるのが日本の公的年金制度です。

自分の人生のためにも、配偶者や子供たち家族のためにも、年金制度をしっかり活用していただければと思います。

 

広告エリア

広告募集要綱